IRODORI
2026-08-30資産性

管理費はなぜ上がるのか?どこまで上がるのか?

管理費はなぜ上がるのか?どこまで上がるのか?

管理費、こちらも「今の金額のまま」だと思っていませんか。

前回、修繕積立金の将来予測について書きましたが、管理費も同じくらい、いやそれ以上に見落とされがちな費目です。

住宅ローンは、完済すれば返済がなくなります。でも修繕積立金・管理費は、住み続ける限りずっと発生し続ける費用です。35年でローンを完済しても、管理費の支払いはそこで終わりません。長く住み続ければ、トータルではローンの返済額より多くかかってくることさえあります。

実際、急な値上がりに驚く相談者は多く、「この金額は本当に妥当なんですか」という相談もよく受けます。

修繕積立金と管理費は、値上がりの「起き方」が違う

前回書いた修繕積立金は、長期修繕計画という事前のスケジュールに基づいて、管理組合の判断で段階的に増額していくものでした。

一方、管理費の値上がりは、管理組合ではなく管理会社の状況次第で決まります。長期修繕計画のような事前スケジュールもないので、数年据え置かれた後、契約更新のタイミングでまとまって跳ねる、という不規則な動き方をします。

実際、低層の小規模マンションでこのパターンをよく見ます。規模が大きくないぶん、一戸あたりの負担がどうしても重くなりやすいんです。以前、管理会社から1.5倍近い値上げ要望が出て、相談者が「正直、想定外でした」とおっしゃっていたケースがありました。物価上昇や人件費高騰を理由に交渉されるのですが、実際のところはかなりブラックボックスだと感じています。内訳を聞いても単価ベースでは見えにくいですし、実際に作業員の給料がどれだけ上がっているのかまでは、確認のしようがないんですよね。

これは一件だけの話ではなく、正直よくあるパターンです。もちろん大規模マンションでも管理費は上がっています。ただ、負担する戸数が多い分、一戸あたりの跳ね返りは今のところそこまで大きくない、というのが実感です。

管理費はどこまで上がりうるか

管理費の主なコストは、清掃員や管理人といった人件費です。最低賃金の実績(2013年764円から2024年1,004円、年率にすると約2.5%)を踏まえると、この水準で緩やかに上がっていくのが一つの目安になります。

具体的な金額でイメージすると、たとえば70㎡・管理費12,000円のマンションなら、この2.5%という水準だけで単純計算しても、15年後には約17,400円、30年後には約25,200円になります。今の1.45倍、2.1倍という水準です。

ただ、正直にお伝えすると、実際の値上げはこの目安を大なり小なり上回っているケースがほとんどです。直接の人件費だけでなく、間接的な人件費もありますし、この機会に管理会社側が利益分もあわせて確保しようとしている、というのも一因としてあるのだろうと思っています。管理費が1.5倍になったからといって、作業員の給料が1.5倍になっているわけではないので、値上げ分がどこまで妥当なのかを外から精査するのは、正直かなり難しいのが実情です。

だからこそ、「人件費の上昇分だから仕方ない」という説明を鵜呑みにせず、この目安より上振れしている前提で将来の負担を見ておくくらいが、ちょうどいいと思っています。

まだ住んでいない段階でも、便乗値上げの気配に気づく方法

とはいえ、これから検討する物件について、総会の議事録や見積書の内訳を事前に見せてもらえるわけではありません。それでも、外からできることはあります。

一つは、同じくらいの規模・同じくらいの築年数の物件と管理費を比較してみることです。ただ、これを自分で一件一件調べるのは、正直かなり大変な作業です。

もう一つは、「何にそんなにお金がかかっているのか」を聞いてみることです。周辺の植栽管理なのか、フロント業務なのか、共用施設の維持管理なのか。どこにコストがかかっているマンションなのかによって、妥当な金額感はけっこう変わってきます。このあたりの相場感は、正直、我々のような専門家の方が多少の知見を持っている領域だと思います。

一番確実なのは、管理会社や仲介に直接聞いてみることです。ただ、聞いて終わりではなく、その答えに納得できるかどうかまで、ぜひ自分の目で確かめてみてほしいと思います。

まとめ

管理費も、修繕積立金と同じく「今の金額」ではなく「将来の金額」で見るべきものです。しかも、その値上がりは想定より上振れしやすい、という前提で見ておいた方がいいというのが、これまで数多くの相談を受けてきた実感です。