新築マンションの価格は、どう決まっているのか?

「同じマンションなのに、期によって値段が全然違う」。マンションを検討している方が、今いちばん気にしているのはここだと思います。
最近の検討者は、マンション販売が何期かに分かれていて、そのたびに値段が調整されることをもう知っています。ただ、実際に1期と3期で価格が1.5倍近くになっている物件もありますし、以前は普通にあった頭金の割引もなくなってきている。正直、売主側がどんどん強気になっているというのが、今の実情に近いと感じています。
一般的に言われている「価格の作り方」
新築マンションの価格構成について調べると、だいたいどこも同じことが書いてあります。土地の仕入れ費用と建築費を合わせた原価が全体の8割ほどを占め、そこに広告宣伝費や利益(1割程度)を乗せて販売価格が決まる、という説明です。
期分け販売についても、1期・2期と分けて売ることで「1期完売」というニュースを作り、人気を演出する狙いがあるとよく解説されています。角部屋や高層階に相場より2〜3割高い「プレミア価格」をつけて、それ以外の住戸を相対的にお得に見せる、というテクニックもよく紹介されています。
こうした説明はどれも間違ってはいません。ただ、正直なところ、「なぜそういう値付けになるのか」という一段深い理由まで書いてあるものは、あまり見かけません。
期分け販売の本当の正体は、「原価」ではなく「需要」を読むための仕組み
ここが今回、いちばん伝えたいところです。
工事費や土地代は、実は着工の時点ですでに確定しています。マンションの販売開始は、その工事契約(正確には確認申請)の後です。つまり、後の期に回ったからといって、その間の物価上昇分が上乗せされている、というわけではないんです。
物価上昇で施工者からの相談に乗ることはありますが、基本的に事業に物価上昇予備費を見込んでいますので、プロジェクトの採算性のために値上げするというのは基本的にはないです。
ちなみに、「建築費高騰でマンション価格が上がっている」というニュースはよく見かけると思いますが、あれは新しく着工する別のプロジェクトの話です。数年前より高い原価で計画されたプロジェクトが増えているために市場全体の相場が上がっているのであって、すでに着工済みの、この一つのプロジェクトの中で期ごとに値段が変わる理由とは、分けて考える必要があります。
実態はこうです。デベロッパーは、1期目の売れ行きや、買い手の反応をよく見ています。そして、2期目以降にどこまで強気の価格にできるかを、その反応をもとに判断します。売れると見れば価格を上げますし、反応が鈍ければ、値下げしてでも販売戦略を変えます。マンションの建設は数年がかりになることも多いので、期を分けて市況の動きに応じて価格を決めていく。これは会社としての利益最大化のための、いわば需要側のリスクヘッジです。
原価という「作る側の事情」ではなく、需要という「買う側の反応」で価格が動いている。ここを取り違えると、価格の見方を一つ間違えることになります。
早く買う人・遅く買う人、実はどちらが得なのか
需要を見ながら価格を決めるということは、1期目に買う人は、ある意味で「価格が正しいかどうかのテスト対象」になっている、とも言えます。
ここ10年ほど、東京のマンション市況は右肩上がりが続いているという印象を持っています。経済的に大きな打撃がない限り、急にガクッと下がるような状況ではないのではないか、というのが今の自分の見立てです。こういう右肩上がりの局面では、1期目に買った人の方が安く買えている可能性は高く、実際に1期と3期で価格が1.5倍になった物件も見てきました。
ただし、これはあくまで「右肩上がりの市況が続いている場合」の話です。竣工が近づいてきて、それでも完売していない住戸が残っていると、値引き交渉に応じるケースも出てきます。つまり、早い期が必ず得というわけではなく、そのときの時期と市況によるというのが、正直なところの結論です。
まとめ
新築マンションの価格は、原価に利益を乗せただけの単純な計算式では決まっていません。工事費・土地代という「確定した原価」の上に、需要を見ながら期ごとに価格を調整していく、いわば市場テストの積み重ねで最終的な価格帯が形作られています。次の期がいくらになるか気になる方は、「原価が上がったから」ではなく「今の売れ行きがどう評価されているか」という視点で見てみると、また違って見えてくると思います。
