マンション駐車場、車がない人が損?

「うちは車を持っていないので、駐車場のことは関係ないですよね」。マンション相談を受けていると、こう思われている方がほとんどです。
正直、これは無理もないと思っています。駐車場の維持費は、駐車場を使っている人が払っている駐車料金で賄われている、と考えるのが自然だからです。
実際によくあるのが、修繕積立金が相場よりだいぶ高いことに気づいてはいても、その原因を「工事費が高騰しているから」「マンションの仕様が良いから」だと思い込んでいるケースです。本当の原因を突き止められないまま、なんとなく納得できない金額を払い続けている、という状況になっています。
唯一驚かれるのは、理事を経験してマンションのお金の流れを実際に把握している方です。「今まで払ってきたお金の中に、自分には関係のない施設の費用が含まれているとは思っていなかった」と言われたことがあります。
実は、車を持たない人も「駐車場の赤字」を負担している
機械式駐車場という設備の特徴は、使われていなくても費用が発生し続けることです。空き区画が増えても、定期点検や法定検査、老朽化した部品の交換、そして将来必ず必要になる更新工事の費用は、ほとんど減りません。
一方で、空き区画が増えれば、駐車場使用料としての収入は減っていきます。この収入と費用のバランスが崩れると、その赤字分は、管理費や修繕積立金という、区分所有者全員が負担する費目で補填されることになります。
つまり、車を持たない人であっても、マンション全体の駐車場の稼働状況次第で、間接的にその赤字を負担していることになるんです。「自分には関係ない設備」だと思っていたものが、実は毎月の管理費・修繕積立金という形で、確実に関わってきています。
そもそもなぜ機械式駐車場が作られたのか
機械式駐車場は、建築時の「附置義務」という制度によって作られることが多い設備です。これは、条例などで一定台数の駐車場設置がマンションに義務付けられている制度のことです。
「今は車離れが進んでいるから、駐車場需要も減っているんだろう」と単純に思われがちですが、実務者として見ていると、この予測はそう単純ではありません。都心でも、駅から近いマンションでファミリー層が多ければ、電車より車の方が便利なケースは普通にありますし、駅から少しでも離れれば、車はほぼ必須になります。逆に、単身者やDINKs層が多いエリアでは、駐車場需要はぐっと下がります。
つまり、需要はエリアや世帯構成によって大きく変わり、数十年という長いスパンで正確に予測するのは、非常に難しいというのが実情です。実際、需給のミスマッチに対応するために、外部の利用者に駐車区画を貸し出しているマンションもあります。附置義務で作られた当初の想定と、数十年後の実需がずれてしまうこと自体は、ある意味では構造的に避けにくい問題なんです。
検討段階で確認できるポイント
車を持っている方であれば、駐車場の台数と、空き待ちの人数を確認しておいた方がいいです。入居してから何年経っても、自分のマンションに車を停められない、ということも十分あり得るからです。
車を持っていない方は、駐車場の稼働率と収入、そして駐車場にかかっている費用を確認すべきです。このバランスが取れていなければ、その分は結局、各住戸の負担として跳ね返ってきます。
どちらの立場であっても、駐車場は「使っている人だけの設備」ではなく、マンション全体の財政に関わる設備だ、という前提で見ておくのがいいと思います。
まとめ
機械式駐車場は、車を持っている人の設備だと思われがちですが、実際には区分所有者全員の財政に関わる設備です。車の有無にかかわらず、検討段階で駐車場の稼働状況と会計のバランスを確認しておくことをおすすめします。



