知っておきたいマンション用語、実務者が解説します

マンションを検討していると、パンフレットや重要事項説明の中で、聞き慣れない専門用語に出会うことが多いと思います。今回は、これまでの記事でも触れてきた用語を中心に、意味だけでなく「実務者として実際どう見ているか」まで含めてまとめました。気になる用語があれば、リンク先の記事もあわせてどうぞ。
附置義務
条例などによって、マンションに一定台数の駐車場設置が義務付けられる制度です。「駐車場の台数が多い=附置義務のせい」と単純に語られがちですが、実際には駅からの距離と、周辺エリアの車保有率、世帯構成の組み合わせで需要は大きく変わります。駅近でも車保有率が高いエリアやファミリー層が多ければ駐車場需要はありますし、逆に駅から遠くても単身層が中心なら過剰になっていることがあります。詳しくは「マンション駐車場、車がない人が損?」で解説しています。
区分経理
駐車場の使用料収入と維持費を、管理費・修繕積立金の会計とは別に管理する経理方式です。国のガイドラインでは推奨されていますが、実務で見ていると、事業計画の段階できちんと区分されているケースはそう多くありません。「駐車場があればマンションの価値が上がるだろう」というポジティブな憶測のもとで計画が組まれているのが実情で、後から収支のズレが表面化するパターンをよく見ます。
新耐震基準/旧耐震基準
1981年6月を境に切り替わった、建物の耐震性能に関する基準です。一番誤解されていると感じるのは、「新耐震だから大丈夫」「旧耐震だから危ない」と一辺倒に決めつけてしまうことです。実際には、構造以外にも設備の設計思想など、様々な要素が住み続けられるかどうかに関わってきます。詳しくは「「新耐震基準なら安心」は間違いです」で解説しています。
耐震等級
住宅性能表示制度における耐震性能の指標です。等級1が現行の耐震基準相当、等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の強さとされています。ただし、これはあくまで構造面のスペックの一つであって、地震後も生活を継続できるかどうかまで保証するものではありません。詳しくは「「新耐震基準なら安心」は間違いです」もあわせてご覧ください。
期分け販売
新築マンションを1期・2期と分けて販売する方式です。工事費や土地代は着工時点ですでに確定しているため、後の期になるほど値段が上がるとしたら、それは物価上昇の転嫁ではなく、デベロッパーが売れ行きを見ながら価格を調整している、いわば需要側のリスクヘッジです。この戦略の存在を理解した上で、提示された金額の妥当性を検討者自身が検証する必要があります。詳しくは「新築マンションの価格は、どう決まっているのか?」で解説しています。
長期修繕計画
将来の大規模修繕に向けて、修繕積立金をどう積み立てていくかを定めた計画です。ただ、物価上昇や人件費高騰を十分に織り込めている長期修繕計画は、実務者として見てきた中で見たことがありません。修繕費は今後必ず上がっていくもの、という前提で見ておいた方がいいと思っています。詳しくは「修繕積立金はなぜ上がるのか、どこまで上がるのか」で解説しています。
管理費と修繕積立金の違い
どちらも毎月支払う費用ですが、値上がりの起き方が違います。修繕積立金は長期修繕計画という事前スケジュールに基づいた計画的な値上げですが、管理費は管理会社との契約更新のタイミングで、事前スケジュールなく不規則にまとまって跳ね上がることがあります。この違いを理解していないと、管理費の急な値上げに「想定外だった」と驚くことになります。詳しくは「管理費はなぜ上がるのか?どこまで上がるのか?」で解説しています。
まとめ
どの用語も、パンフレットや重説の中では簡単に説明されて終わってしまうことが多いですが、実際には検討者の判断に直結する内容ばかりです。気になる用語が出てきたら、ぜひ一度立ち止まって、その中身まで確認してみてください。



